4月1日(月)-13日(土)
11:00-19:00 日曜休廊 (最終日1階のみ17:00まで) 日曜休廊
〈ある晩、森で〉 2013年 パネルに顔料、樹脂膠 1303×1620mm
わたしにとって絵を描くことは、問題提起をしたり何かを声高に訴えたりするものではなく、
世界の成り立ちについて学ぶための行為である。
振り返ってみると今までの人生、信じられないような厄災に見舞われたことも
物質的な欠乏を感じたこともない。
それが表層的なものであるかはともかく、わたしの周りにはおおむね善人がいて、まずまずの物があり、選択する自由もある。
そんな一見平和そうな今の世の中でも何かの折にふと、違和感や嫌悪感を感じる何かに触れてしまう瞬間がある。
無意味に人を傷つける邪悪さは、実体こそないものの、意思をもって生活のすぐそばに潜んでいる。そう思えてならない。
変なものを感知してダメージを受けないように、自分のセンサーを切ってしまうのは有効だろうし、思考のシステムに頭を預けてしまうのも手かもしれない。しかしそこには、感覚や勘を鈍らせてしまうという落とし穴がある。
何が条理かもわからない世の中をより良く生きるためには、足がかりが必要だ。
だからきっと人は何かを創造するのだと思う。ある人は文を書き、何かを育てる。
またある人は、山に登ったり海に潜ったり、歌ったり踊ったりする。
わたしは絵を描く。
どこからともなく、わたしの元へ落ちてくる不可思議なイメージの断片は、ある次元ではその主題や構成において、
苦しみや悩ましさも引き連れてくる。しかし別の次元では、それによって癒され生かされていることを感じる。
いやなものと面と向かって対峙しない、いうのは生き延びる上での自分なりのひそかな教訓であり、絵を構築する上でのキーでもある。単純なストーリーに回収されない、多焦点的な世界。
そんな世界を粛々と作っていけたらいいなと思う。
牛嶋直子
牛嶋直子 略歴 | |
1979年 | 群馬県生まれ |
2004年 | 女子美術大学絵画学科日本画専攻卒業 |
2008年 | 女子美術大学大学院美術研究科日本画研究領域修了 |
画歴 [個展] |
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2003年 | ART LABORATORY R3 群馬 |
2006年 | 銀座Galleryフォレスト 東京 |
2008年 | 「彼方の風景」 画廊翠巒 群馬 |
2010年 | 「silent story」 ギャラリーアートもりもと 東京 |
「silent place」 画廊翠巒 群馬 | |
2011年 | 「灯すもの 灯されるもの」 画廊翠巒 群馬 |
2012年 | 「under the sight」 ギャラリーアートもりもと 東京 |
[グループ展] |
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2009・10年 | アートフェア東京 |
2012年 | 第5回東山魁夷記念 日経日本画大賞展 上野の森美術館 東京 |
シェル美術賞展2012 国立新美術館 東京 | |
[受賞] |
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2004年 | 加藤成之記念賞 |
2009年 | 女子美 制作・研究奨励賞 |
2012年 | シェル美術賞展2012 入選 |
〈暗いうちにここを出て〉 2013年 パネルに顔料、樹脂膠 970×2910mm